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第1回 鉄人・金本の心意気

 皆さんこんにちは、達川光男です。今回から始まる私のコラムですが、まずはこの男、金本知憲についてお話しさせてもらおうかな、と思います。

 私は広島時代から、金本のことをよう知っております。9月12日からの広島3連戦、目の前で見させてもらったんですが、これがまた凄い集中力なんですよ。練習の中で体を仕上げていく姿を見させてもらったんですけど、とにかく24時間を有効に使ってコンディショニングしてる。移動日には焼肉を食べに行ったりするんですけどね、これまた凄く食事するわけですよ。「肉食わな元気出ん」とか言ってね。とにかく、エネルギーを摂る。

 間近で見てると、もう負けられない、一戦一戦が決戦という中で、プロとして最高の準備をしてるなあと思うんです。

 12日の広島3連戦初戦、ベンチが負けられないぞと重苦しくなってる中で、金本がいきなり初回に2ランを打ちました。甘い球を見逃さず、ドカンとね。この試合、金本は3打数3安打、ホームランを2本打つんですが、とにかく見逃しがない。金本っていうバッターはどちらかと言うとじっくり様子を見てくるタイプなんですが、集中できてたんでしょうね。とにかくファーストストライクを打ちに行きました。

 こういう負けられない試合、プレッシャーがかかる試合で、スッと初球を打ちにいける、その集中力というのはどこから来るのか、と言いますと、金本は注目されている打席は楽だ、と言うんですよ。自然に入っていけると。むしろ、そうじゃない打席、10-0で負けている試合の打席とか、とにかくお客さんがもう興味を持っていないような打席、それがしんどいと言うんです。そんなどうでもいい所で打席に立つのは、フルイニング出場っていう記録のためじゃないかと、そういう風に思われるのが嫌なんですね。だからこそ、そういうしんどい打席を大事にする。普通ならモチベーションが保てないような打席でも、そういう打席をおろそかにすると、いざという時に本来の力が出せない、というわけです。

 マスコミは勝手に、チャンスに強いとか弱いとか騒ぎますけどね、別に金本はチャンスに強いわけではないんですよ。10-0だろうと、1-0だろうと同じ姿勢。ここ一番でも同じ姿勢。常にいい力が出せるように、普段から集中してるわけです。プロなんだから、常にお客さんに見られてる、ってことを意識してるわけです。だから常に全力で、チャンスでもそうでなくても変わらないんですね。

 広島戦の後の中日戦、大事な大事な直接対決では、残念ながら川上憲伸と山本昌に抑えこまれてしまいました。特に山本昌にはノーヒットノーランまでやられちゃって。それでも、3戦目には意地の一発を見せてくれましたよ。ノーヒットノーランやられて、優勝も遠くなって、集中も切れそうな所なのにね。

 いくら優勝が遠くなったといっても、まだお客さんが見てくれてるんだから、金本の集中力は途切れないわけです。お客さんに見てもらうためのフルイニング出場なんですから。他の選手も、同じような姿勢でプレーしてもらいたいですね。

 まあ私、金本を見ててこんな事を思うんですよ。「宝くじは買わなきゃ当たらないけど、選手も試合に出なきゃ打てない」ってね。やってみなければわからんのです。やってみればチャンスはあります。皆さんも、何事もやってみて下さい。こんな感じで、今回から私のコラムを始めさせていただきます。

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