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第2回 手間ひまかけた山本昌の一球

 中日ドラゴンズが2年ぶりのセントラル・リーグ優勝を決めました! 終盤は阪神の猛追に遭いましたが、そういう苦しい中で大きかったのは、やはりベテランの力でした。まずは、37歳になる立浪和義。10月4日にサヨナラタイムリーを放ったりして、苦しいチームを救いました。そしてもう一人、この男を見逃すわけには行きません。そう、今年で41歳になった、鉄腕・山本昌です。

 山本昌は、若い時に比べれば10キロ程度は球速も落ちていますし、多くの人が「どうして抑えられるの?」と疑問に思ってるでしょう。まず、私らキャッチャーの目線でピッチャーの良し悪しを言わせてもらいますと、スピード、コントロール、腕の振りというピッチャーの要素の中で、スピードは一番どうでもいいんです。どの球種でも同じ腕の振りで投げる、というのが一番大事で、次にコントロール。スピードは二の次、三の次なわけです。山本昌は、それを証明してくれてるピッチャーなんですね。

 山本昌の場合、腕の振りがどの球種も同じ、というのはもちろんなんですが、緩急が利いているというのも、彼が41歳にもなって勝ち続けている一つの要因です。内外、高低を速い球と遅い球で揺さぶるわけですが、基本的に山本昌は、打者から逃げていくボールを決め球にするピッチャーです。右バッターにはスクリュー、左バッターにはスライダーですね。

 だけど、こういう逃げていくボールで打ち取るためには、どうしてもインコースのボールが必要になります。インコースは失投になればホームランになりやすいし、デッドボールの危険もある。でも、最後に外で勝負するためには、絶対に必要なんですよ。ことわざにも言うでしょ、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」とか。あれがね、まさに私らキャッチャーのリードを指してるんですよ。

 そういうわけで、山本昌はピッチングのコツというものを知ってます。スピードじゃなくて、腕の振りとか、緩急とか、その他もろもろ、あらゆる要素を使ってバッターを抑えているわけです。そういう意味では、齢をとればとるほど良くなってるのかもしれませんね。

 彼の練習は、まさに一球に懸けてるわけですけど、その一球に、また手間ひまがかかってます。最後の決め球、その一球を投げるための伏線に、すごい手間をかけてるんです。丁度、ラーメンのスープみたいなモンですかね。手間ひまかけて、じっくりと作り上げる。そんな味のある、山本昌のピッチングなんですよ。

 9月に優勝争いをする中で、一時は9ゲーム差あったのに、中日は阪神にあれほど追い込まれました。でも、そういう中で山本昌が節目節目の試合に勝ったからこそ、今年の中日の優勝があると思います。あの阪神戦でのノーヒットノーランもそうですけど、何よりも川上憲伸で落とした次のゲームに勝ってるのが大きい。川上は最後の方で2連敗しましたけど、どちらも翌日に山本昌が勝っています。普通、大黒柱が負けるとチームもシュンとなってしまうもんです。そういう中で山本昌が負けを引きずらないようなピッチングをしてくれた。本当に、優勝の陰の立役者ですよ。

 現在、191勝。200勝まであと9勝です。今年は山本昌に優勝させてもらったと言っても過言ではないわけですからね、来年はチームが山本昌を助けてあげて、それで200勝を達成してもらいたいですね。来年で42歳、頑張って下さいよ!

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