北海道日本ハム・ファイターズ、44年ぶりの日本一、おめでとうございます!
何と言っても、新庄の引退で注目された今回のシリーズでした。いつもニコニコ、ファンを喜ばせる発言で人気を集めていた新庄ですが、やっぱりその裏には大変な苦労があったようです。
プロのスポーツ選手には、気持ちというものがとても大事なんですが、気持ちを盛り上げていく、という作業がこれまた大変なんです。新庄自身も、ああしていつも笑って、騒いでいるのがしんどいと言っておりましたよ。人間、ずっと怒っているよりずっと笑っているほうがよっぽど大変でね。新庄も、ベンチが暗くならないように、チームメートが力を発揮できるように、笑いかけて盛り上げて、全て計算でそれをやりました。自分の気持ちが落ちていても、それを全く外には出さないでね。やっぱり、大変な選手ですよ。
大和魂なんていう古い考え方からいきますと、新庄のやり方はちょっと違うんじゃないか、なんて意見もありますけどね。新庄はそうした考え方を変えましたよ。本人も、そういうプロ野球の古い部分を変えたいと言っておりましたしね。アメリカでファンサービスとは何なのかを考えさせられたそうですし、やはりメジャー挑戦が彼にとっては大きかったですね。
だけど、新庄がただのパフォーマンスだけの選手だったら、ここまでは騒がれていません。野球選手に必要な要素を、私はスピード・パワー・正確性だと思っておりますけど、スピードと正確性は文句無く持っている選手でしたね。ニコニコしながら、ちゃんと一流の芸ができる。特に守備と走塁は抜きん出たものがあって、その上でパフォーマンスをやってたわけです。だからこそ、他の選手もみんなついてきてくれたんですよ。
あの最後の打席の涙が印象的だったファンの方も多いと思います。やっぱり、新庄本人も、まだ野球を辞めたくないんですよ。だけど、足がもうボロボロで、言うことを聞かない。いつ肉離れしても、靭帯が切れてもおかしくないような状況で、自分のプレイができない、新庄らしさが無くなっていくというのが、彼には耐えられなかったんですね。辞めたくない、でも辞めるしかない。そういう揺れ動く気持ちの中での、あの涙だったんでしょうね。
それでも、さすが新庄。最後に素晴らしいプレゼントをくれましたね。4月に引退発表した時点では、日本ハムは苦しいゲームばかりでした。でも、10月に終わってみれば日本一。こんな事、新庄にしかできませんよ。
新庄と並んで、もう一つ触れておきたいのが、日本ハムというチーム、ヒルマンという監督についてです。
今回のシリーズ、下馬評では中日が有利で、両軍は似たチームだと言われてました。でも、違うんです。似て非なるチームです。アレは。
今年の春のキャンプ、見させてもらいましたけど、全体練習の量が一番多かったのが中日でした。そして、一番少なかったのが日本ハムだったんですね。落合監督は中日の練習量に絶対の自信を持っておられました。でもこういう結果になって、集中して練習することの大事さを私も考えさせられましたね。
ヒルマン監督というのはデータが大好きな監督で、試合中でもベンチで色んな数字とにらめっこしています。それで、その数字を使ってしたたかな野球をする。第5戦、セギノールの決勝2ランを呼んだ田中賢介の盗塁なんか、普通だったら考えられませんよ。同点の終盤、クリーンアップの所で出た大事なランナーです。あれを走らせられるのは、ヒルマン監督だけでしょう。
でも、それも偶然ではなく、選手をきちんと把握して、冷静にゲームを見ているからなんです。第4戦での、金村に対する5回の演出も見事でしたね。かつて問題が起こったのと同じような場面で、同じように振る舞い、今度はマウンドを任せる。金村も意気に感じたでしょう。
なぜあんなに冷静なのか、私もヒルマン監督に直接聞いてみました。そしたら、あのダンディな口ぶりで答えてくれましたよ。「私が落ち着いていないと、選手が動揺する」ってね。
その冷静さで新庄を放任し、金村を寛大な心で許し、その他もろもろ、あらゆる選手の特性を操りました。日本語もすぐに覚えて、あの名文句「シンジラレナーイ」ですよ。
全て計算づく。知的で冷静で、おまけにハンサムでダンディ。本当にシンジラレナーイ、そんなヒルマン監督とファイターズの一年だったと思います。
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第3回 新庄とヒルマンのシンジラレナイ一年
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