巨人の小久保裕紀選手が、古巣の福岡ソフトバンクに復帰しましたね。わたくし、95年に当時福岡ダイエーだったホークスのバッテリーコーチをやらせていただいたんですが、やはり小久保の印象は強く残っていますよ。
私がコーチを務めた95年というのは、小久保の2年目のシーズンになります。その年のオーストラリアキャンプで初めて小久保を間近で見て、なんて体が強い選手だろうと思いました。その体の強さがあるから、練習も長時間できる。気持ちも強くてね。技術的には、インコースの速い球は苦手にしていましたけど、変化球への対応は2年目と思えないほどうまかったですよ。サードとして入団しましたけど、当時はサードに松永浩美がいて、それで仕方なくセカンドをやったんですけど、それも苦にしませんでした。それで、終わってみればホームラン王、ベストナイン、ゴールデングラブ。やはりモノが違いますね。
これは結構意外に思われるかもしれませんが、当時の小久保は走塁面にもかなり積極的だったんですよ。尊敬していた秋山幸二の影響でしょうかね。打つだけの選手になりたくない、走攻守に秀でた選手になりたいと言っておりました。3割40本40盗塁なんてのを目指してた時期もありましてね。
でも当然、ホームランへの強い憧れも持ってましたね。遠くへ飛ばしたいという思いで、随分練習してました。裏方さんを捕まえて、ずーっと早出特打をやっておりましたよ。誰にもやれと言われてないのにね。私はバッテリーコーチで、小久保とは分野が違いましたけど、そういう小久保の野球への取り組み方、姿勢は、よく見させてもらいました。
そういう中で、後から城島や井口、松中といった辺りがついてくるようになって、それでダイエーは強くなっていったんですね。やはりホークスの選手たちは、よく練習します。昔はそうでもなかったんですけどね、小久保が変えました。
巨人でも、小久保の存在というのは一際大きかったですね。堀内前監督にも、原辰徳監督にも認められて、ヨソからやって来たのに巨人のキャプテンですよ。これは大変なことです。今度は、尊敬する王監督の元に戻るということで、更に大きな小久保を見せてくれるでしょうね。
小久保が移籍してから、ソフトバンクはサードに苦しみました。去年はバティスタが頑張りましたけど、今年はその穴は埋まりませんでしたね。そして、ここ一番で打てなかった。松中も徹底マークされてしまって、実力を発揮しきれませんでしたしね。
でもそこに、小久保が帰ってくるわけです。これは大きいですよ。バッターというものは、前後のバッターの力も必要なんです。私らキャッチャーから見ますと、いくら凄いバッターでも、一人ポツンとしていたら怖くありません。歩かせてもいいと思えば、バッテリーは非常に楽です。ストライク投げなければいいんですから。バッテリーが歩かせられないと苦しんで、勝負するようになって、初めてバッターもホームランを打てるわけです。
そういう意味で、小久保が帰ってくるというのは、松中のためにも大きいです。これまで打線も、チームの気持ちも、全部松中一人で引っ張ってきましたからね。小久保であれば、チームを引っ張る点でも松中を助けてあげられます。その上、練習でもお互いに切磋琢磨できますしね。いいことずくめですよ。
これまでの歴史を見ても、巨人のON、阪神の掛布・バース、赤へルの衣笠・山本、西武黄金期の秋山・清原など、優れたバッターのコンビが強豪チームを作り出してるんです。小久保・松中のコンビは、ここ最近プレーオフで苦しんでいるホークスを蘇らせますよ。
小久保も全盛期を過ぎたのは確かですけど、それでも心機一転、慣れ親しんだ福岡でやってくれるでしょう。ソフトバンクとしても、王監督の体調の問題だとか、3年間プレーオフで負け続けたという問題がありますから、来年こそは絶っっ対に優勝しなくてはいけません。そのための小久保裕紀。これ以上ない、最高の補強になったんじゃないでしょうか。
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第5回 キャプテン小久保がホークスを救う
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