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第6回 選手のオフの過ごし方

 皆さんは、プロ野球選手のオフシーズンについて、どうお考えですか? 12月に入ったら秋季キャンプも終わって、ようやく束の間の休息が訪れている、とお考えになる方も多いんじゃないでしょうか。ところが、そうでもないんですね。

 秋季キャンプが終わってからのオフ、12月から1月までになるわけですけど、実はこの期間が、来シーズンの勝負を決する重要な時期になるんです。秋季キャンプは言わば「やらされる練習」であって、オフの間は、選手にとって「自分からやる練習」の期間なんですよ。いわゆる自主トレですね。野球界にはこんな格言がありまして、「一日休めば自分がわかる、二日休めばコーチがわかる、三日休めばファンがわかる」と言うんですが、何がわかるかって言いますと、サボったのがわかる、ということなんですね。

 オフというのは、試合がないわけですから、結構無理が利く期間なんです。後に残す体力なんか考えず、思い切り練習ができる。シーズン中にケガをした選手であれば療養にあてても良いですし、そうでなければ思いっきり鍛えるわけです。

 ベテラン選手なんかはその辺がよくわかっていますから、金本知憲や工藤公康、前田智徳なんて辺りはもう動き出してますよね。年をとればとるほど、一旦休めた身体を作り直すのは大変になるんです。一度身に付けた技術は、ベテランになれば落ちませんけどね。逆に若い人は、技術が半端だから、一度休むと身体が忘れてしまう。だから若い人たちは、オフの間もバットとグローブを持ってなければダメですね。ウェートやジョギングだけやってればいいというわけでもありません。

 私は現役時代、腰痛持ちだったもので、水泳で鍛えました。特に背泳ぎですね。クロールだと、普段の肩の動きと同じもんですから、いつもと逆の動きになる背泳ぎを取り入れたんです。これが実に効果的で、初めは腰のために始めた水泳でしたけど、衰えてた肩が良くなりましたよ。私のレーザービームのような強肩にも、そんな裏話があったんです。

 メジャーリーガーですと、アメフトやバスケットボールなんかをやってオフを過ごす選手も多いですね。あと、これは日本もそうですけど、ゴルフも多い。私はオフのコンペとかには、トレーニングの一環だと思って参加してました。なるべく早足で歩いたり、四六時中ストレッチしたりしてね。特に私は腰が悪いもんですから、それはもう入念にストレッチしてましたよ。終わったら、ウェートをやったり温泉に行ったりして、かなり気遣いましたね。今だったらスーパー銭湯みたいなものがそこら中にありますから、今の選手はもっと楽でしょうね。

 オフのトレーニングで私の記憶によく残っているのは、巨人V9戦士、現北海道日本ハムGMの高田繁さんですね。長嶋茂雄さんが現役を引退した後、高田さんはレフトから、長嶋さんが務めていたサードにコンバートされたんですよ。内野から外野へのコンバートというのは幾らでも例がありますけど、外野から内野というのは珍しい。でも、高田さんはオフの間に毎日ノックを受けて、遂にはダイヤモンドグラブ賞(現ゴールデングラブ賞)を獲るほどの名手になりました。外野でも大変な名手でしたけどね。とにかく、この高田さんのオフの過ごし方を見て、オフはこんなにも大切なものなんだとわかったんです。

 とは言っても、選手にとってオフは、もう一つ重要な意味合いを持った期間でもあるんです。家族サービスって言うんですか。シーズン中はおざなりにならざるを得ない、家族との時間でもあります。子供も育ち盛りの選手が多いですからね。子供と触れ合う時間も、オフの間にとっておかなくてはなりません。

 お墓参りなんてのもありますね。お墓参りは盆と正月と言いますけど、シーズンも佳境のお盆には、とてもお墓参りはできません。それで、正月にすることが多いわけです。最近のニュースでも、オリックスの清原和博が亡くなった仰木彬前監督の自宅を訪れて、仏前に思い出のバットを捧げた、なんて話がありました。広島カープでも、来季で2年目になる梅原伸亮というピッチャーが、かの「炎のストッパー」津田恒美の背番号を継いだということで、津田のお墓参りをしたという話もありました。純真な梅原投手、ぜひ頑張ってほしいですね。

 というわけで、選手のオフの過ごし方、実に大変なんです。選手諸君、シーズン終わってホッとしてるかもしれないけど、もう戦いは始まってますよ。プライベートな時間も取りつつ、更なる飛躍のために頑張ってください。心も身体も、休めるのは引退してからでいいんです。

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