少し遅くなりましたが、金本選手、2000本安打おめでとうございます! 彼に関しては、広島時代、阪神時代の両方を見させてもらってますけど、ホントに素晴らしい選手になりましたね。チームも金本の偉業に華を添えるように、快進撃を続けています。この好調の秘訣は何なのか、今回はそういうお話をしたいと思います。
今年の阪神で大きく変わったのは何かと言うと、皆さんも真っ先に思いつくでしょうけど、まずは新井の加入です。次に、平野の加入。二人とも、上位打線の中核としてチームを引っ張っています。ですけど、彼らが引っ張っているのはバッティングによってだけではないんです。二人がチームに注入したもの、それは「全力」ということです。
新井は広島時代から手を抜くことを知らない選手です。平野に至っては、更にスゴイ。オリックス時代、ファウルを捕るのに懸命になった余り、顔面からフェンスに激突して選手生命を左右しかねない大ケガを負ったほどです。それでも平野の全力プレーが衰えることはなく、今でも果敢なヘッドスライディングを見せています。赤星・平野の一、二番が高い出塁率でチャンスを作り、新井・金本の三、四番で返すというしっかりした形ができました。
平野が加入したことで藤本・関本といった辺りといい競争が生まれ、全力疾走の大切さもチームに伝わり、チーム全体が活性化しています。スタメンだけではなくチーム全体が自分の仕事を理解し、一つにまとまっている感じです。
昨今、試合短縮なんてことが叫ばれてますけど、そのために一番大事なのは全力疾走なんです。今の12球団で一番走っているのはヤクルトだろうと私は思いますが、平野が阪神にもたらした全力疾走の精神も貴重なものです。
一口に全力疾走と言いましても、実は結構難しいもので、凡打を打つと「クソー」となってしまって、一瞬だけ走るのを忘れてしまう瞬間があるんですよ。その一瞬の間に走り出せているかというのは、凄く難しいんです。この瞬間に走れ、ということを平野が思い出させてくれました。もともと阪神は、中日に比べて劣っていたものは走塁だったんですが、その差を埋めつつありますね。
全力で走る、なんて当然のこと、当たり前のことと思われるかもしれませんけど、そうした「当たり前」を積み重ねていくのも、これまた難しいことです。「当たり前」の「全力」を続ける。「当たり前」の進塁打、「当たり前」の犠牲フライ、個々人が「当たり前」の仕事を続けていく。平凡な作業の積み重ねが、非凡なものを生み出していく。これが今の阪神の強さじゃないでしょうか。
もう一つ、阪神にとって重要なことは、去年の12月にお亡くなりになられた島野ヘッドコーチのために、という気持ちがあることでしょう。選手はもちろん、監督も他のコーチも、島野さんには大なり小なりお世話になりましたから、ヘッドに恥はかかせられない、という気持ちでみんな戦っていますよ。
私が島野さんに教えられたのは、「観る」ということでした。コーチというものは、それぞれの担当する選手をつぶさに観ることだと教わりました。体調面からフォームから、とにかく何でもです。そういう方ですから、金本にしても矢野にしても下柳にしても、「島野さんはずーっと黙って見守っていてくれた。気にかけてくれていた」という気持ちがあるんです。
私が阪神でバッテリーコーチをやらせてもらった時は、「アップを見てやってくれ」と言われました。アップを見るだけで、選手の体調がわかってくるようになる、ということでした。「百聞は一見にしかず」とは、まさにこのことですよ。
そういうわけで、選手たち全員が島野さんのため、親父のために優勝と考えていますから、今の阪神の団結があるんです。一旦は競争に敗れて試合に出られなくなっても、くさっている人間はいません。
全力、そして島野さんへのはなむけ。この二つが、今の阪神の強さを形作っていると言っていいんじゃないでしょうか?
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第23回 阪神好調の秘訣は・・・
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