北京での金メダルが期待される日本代表だが、77名の候補選手がいたにも関わらず、追加招集を余儀なくされた。77人と言えば、選ぶほうとすればすごく多く感じられるが、ここに来て、4人の追加候補選手を発表した。
投手では阪神・渡辺、中日・吉見、西武・帆足。野手では、帆足と同じく西武のG.G.佐藤。今年の成績を見ると、非常に順当な選考だとは思うが、77人というメンバーを選びながら、なおかつ4人を招集するというのは、少しお粗末な話だ。
77人の候補の中から実際に必要とされるのは24人。しかしその77人の内、主力と言えるような選手たちが17人も登録抹消になっていた時期がある。ケガや不調などが理由だが、その17名の内で一向に復帰や副庁のメドが立たない選手もいる。本来なら6月上旬に代表候補を絞り込む予定であったが、一ヶ月延ばして7月下旬になってしまった。私が察するところ、巨人・上原、巨人高橋由の状態を、この一ヶ月間で見極めようとしているように思う。
上原はアジア予選での活躍を見てわかる通り、絶対に必要な選手である。使い方は、予選リーグの時は先発で、決勝トーナメントでは抑えという形で計算しているだろう。使うほうとしては、こんなに頼もしく重宝できる選手は他にいないと思われる。台湾でのアジア予選の時の安定感を見ると、上原は絶対に外せないと首脳陣も改めて考えているだろう。
高橋由は、アテネ五輪の時もそうであったが、キャプテン宮本の相談役としての役割が大きい。また、国際試合に強いと言う実績もある。これは、首脳陣がというよりも、宮本がキャプテンを任された時、絶対に必要とする人間である。
主だったところで言えば、この二人が今回の選考の重要なポイントを握っているといっていいだろう。
77人のメンバーの中には、高校生ルーキーの日本ハム・中田翔やヤクルト・由規なども入っていた。確かに将来性を見ると、彼らはその可能性を秘めてはいる。しかし、今年いきなり全日本ということにはなかなかいかなかっただろう。選考の甘さや緩さが浮き彫りになってしまった。
当初の77人だけでなく、追加招集や変更はできないのかと私が問い合わせた時、日本プロ野球機構のある人間は「絶対に変更できない」と回答してきた。これほどケガ人や不調の選手が多くなった以上は仕方ないということで、その決まりを変更したのだろうが、それだったら、最初から77人などという枠は設けず、プロ野球全体の人間を代表候補にしておけばいい。
私がアテネ五輪を経験した時、やはり代表候補というものを絞り込んで発表していた。当時、プロ野球界全体では「オールプロで行く」ということが一致していただけで、まだ全面協力ということを各球団から確約してもらえずにいた。そのため、球団の了解を得ながら候補選手を絞っていたという経緯がある。代表候補を選ぶ都度、戦力のバランスやペナントレースに支障のない形での選出が必要だったのを覚えている。結局、1球団2人ずつということになり、選考の難しさを感じた。しかし北京に関しては、12球団が全面的に協力するということを言っている。1球団2人という決まりもなくなった。それなのに、77人では足らず追加招集。結局、今回のこの77人という第一次代表候補は何の意味があったのだろう。
オリンピックでの色々な経験を考えると、24人の代表は早く決めたほうがいい。ゲームとは関係ない話ではあるが、五輪ならではの事情もあるのだ。例えば、開会式で着る日本選手団のユニホームの採寸も必要だ。最も大事なのは、IDの発行である。このIDがなければ何もできない状況になる。グラウンド以外の場所でもやらなければいけないことは多いのだ。24人が決まったときには、恐らくドタバタ劇になるだろう。
私は台湾での予選を見てきたが、予選ですらあれだけの苦しい戦いをした。これが本番ともなると、もっと苦しい状況になると想像される。本戦が予選より苦しいのは当たり前だが、何よりも選手たちの調子があまり上がってきているとは思えないのが大きな理由だ。24人のメンバーは予選を戦ったメンバーを中心に選んでいくと思うが、不調な選手、ケガをしている選手があれだけいる中で、そういう選考は危険性が高いようにも思う。ただ、私の経験上、そういった予選や国際試合を多く経験している選手のほうが、チームとしてまとまったり、ここ一番で危機感を感じ取ってくれるのは早い。五輪を戦う上で何が大切かと言うと、意思の統一、モチベーションの統一、そして最も大事なのは強固な和が大切である。そのため、そういう国際試合ならではの緊張感を経験している選手は、全て同じ気持ちで大会に迎ってくれるはずだ。
アテネでの失敗は、予選リーグでオーストラリアに負けた瞬間から始まった。負けたと同時に、チーム内から不協和音が出てきた。五輪では過程よりも結果が大事だ。金メダルを取らなければ、日本の野球はもう許されない状況にある。メンバーを決める前のドタバタ劇が不協和音にならなければいいのだが……。
アテネの時は指揮官を失った状態で日本を出発した。今回の場合、指揮官を失うということはないだろう。星野さんは統率力に優れている。現在、色々な困難に直面しているし、この先も更なる困難が待ち受けているだろうと思う。しかし星野さんならば、その困難も切り抜けていってくれるだろう。北京五輪まであと2ヵ月。日本代表の奮闘に期待したい。
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