阪神タイガースが今にもマジックを出しそうな勢いで2位以下を大きく引き離し、驀進している。今年はもう阪神が優勝すると言っても、誰も疑う者はいないだろう。過去のデータから見ても、オールスターまでに7ゲーム以上離してひっくり返されたチームはない。今年はオールスターまでまだ少し期間があるものの、2位との10以上のゲーム差は縮まらないだろう。
昔、メークミラクルといって巨人が11.5ゲーム差をひっくり返したことがあるが、その始まりは7月の札幌からであり、オールスター時点では6.5ゲーム差だった。
過去のデータから行くと、もう絶望的な数字になっている。しかし、クライマックスシリーズがあるために、優勝するからと言って安心はできない。クライマックスシリーズで敗れ、日本シリーズに出られない可能性はあるのだ。その中で阪神の不安要素を探るべく、3人の記録に注目してみた。
1人目は金本。7月1日に1400試合連続出場を達成している。2人目は新井。この選手も金本の弟分として尊敬する背中を追いかけ、連続試合出場にこだわっている。一昨年、去年は全試合出場。今年も全ての試合に出場している。3人目は鳥谷。今年500試合連続出場を達成した。ショートでありながら連続出場を続けているのは立派なことだ。
これらは素晴らしく、プロとして尊敬する数字だ。しかし、裏を返せばどんな状態に陥ったとしてもなかなか彼らを交代させたり、休ませたりできないということだ。
7月12日、甲子園に足を運んで中継前に色々取材してみた。新井が練習前のフリーバッティングをやっていない。岡田監督に聞くと、どうも腰が痛いらしいとの答え。本当は少し休養を与えたいところだが、その連続試合出場に監督は遠慮をしていた。
連続試合出場は素晴らしい記録には違いないが、調子が悪いとかケガを押してとか、そういったことが仮に3人に降りかかってきたとすれば、チームの戦力ダウンになるに違いない。
クライマックスシリーズを迎えるのは当然シーズン終了時点だ。1シーズンを戦った体というのは恐らくボロボロの状態であろう。その時に気力だけで戦っている人間もいる。今年だけのことを考えれば、そのままでもいいのだろうが、大きな柱を失ってしまう恐れもある。余計な心配ではあるのだが……。
そういった3人を抱える阪神。もう一つ、高齢化というものが少し気になる。金本40歳。この40歳はスーパー40歳と言うべきで、若手よりも元気である。あまり問題ではないが、矢野と下柳、この2人の40歳は過度の疲れを感じるポジションにいる。
確かに矢野はフル出場せず野口との併用で頑張ってはいるものの、大事な場面では矢野が全てマスクをかぶっている。精神的な疲れなどが心配である。
下柳は今エースという立場でマウンドに立っている。連敗で回ってきた登板ではエースという立場から、絶対に負けられないという責任の下で投げるだろう。そのプレッシャーはどれほどのものか。大きなお世話なのだが、こういったことが懸念されるのだ。
メジャーリーグを見てみると、イチローが足の張りを訴え休養していた。各チームの主力も休養日がある。ゲーム数が162と多い中、移動距離・時差、そういったものも考慮してのことだろう。
ケガをしてから休むのではなく、ケガを未然に防ぐために彼らは休養をしている。どちらがいいかはわからないが、そういったやり方も一つの手かもしれない。
とは言っても、やはり金本らの記録は素晴らしいのだ。主力がどんどん休み、ベストメンバーが組めないチームがある中、阪神は金本ら3人が絶対に試合を休まないという緊張感の元でやっているだけに、他の選手も少々のケガでは休まない。そういった、絶対休めないという緊張感が阪神のこの成績を支えているし、監督もスムーズに打線やサインを考えられるのだろう。この緊張感は一年単位にしてみれば、大きな成績の差になって現れてくる。
今年西武が強いのも、競争意識から来るものがある。中村が頬骨にデッドボールを食らい骨折をして、さすがにその日は退いたが、何と次の日、顔が腫れた状態で先発出場してきた。休んでいる間にポジションを取られる可能性もあるし、一打席でも多く立ち、ホームランを打ちたいという気持ちがあったのだろう。そういった選手がチームにいい緊張感を生み、チームの力になっている。これは阪神と共通していることだ。
阪神が強すぎる。セ・リーグの灯が消えようとしている。その中で、何とか阪神の不安な点を探してみた、苦しいコラムである。それだけ、今年の阪神は素晴らしい戦いを日々見せている。
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第4回 阪神タイガースの盲点
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