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第7回 西武ライオンズ優勝

 昨年5位と低迷した西武ライオンズが、一年で見事にチームを建て直し、優勝を成し遂げた。昨年秋、渡辺久信監督が伊東監督に代わり就任した。それに対して、一抹の不安が私の中ではあった。現役時代は西武黄金期のエースで、お山の大将的な存在だった渡辺監督が、果たしてチームをまとめきれるのか。それが不安だった。しかし会ってみると、引退してからの苦労が人格を作り上げていた。礼儀正しく、視野も広げ、バランスの取れた人間に変身していたことが、私の中では驚きであった。

 周囲を固めるコーチ陣の人選も面白かった。バッティングコーチにデーブ大久保。内野守備走塁コーチに清家政和。外野守備走塁コーチに岡村隆則。ピッチングコーチに潮崎哲也、小野和義。これらは、一度苦汁を舐めたような人たちを集めたように思う。その人たちが選手の痛み・苦労を知り、チームを決して暗くしない指導をしていった。

 秋に布陣が決まったが、その時点では優勝という想像はしにくかった。しかし、春のキャンプに足を運ぶと、そこには今までにない、明るく活き活きとした選手たちがいた。練習も明るく、キツい練習でも積極的に取り組み、何とか力をつけようとする若手選手たちが印象的だった。だが、その時点においても、優勝するというふうには考えなかった。

 それは、余りにも荒削りすぎて、優勝するには繊細な部分が足りないと思ったからだ。しかし、日本ハムが優勝した時のような、チームの明るさは負けずに持っているように思った。その前のロッテも明るいチームだった。今のパ・リーグは、チームの明るさが強さに結びついている。キャンプの時、西武もその明るさを持っているとは思った。

 オープン戦を見ても、さほど目立ったことはなかった。チームワークは良く、コーチが選手たちを守ろうとする姿が見えた。それでも、昨年より少しいいぐらいか、という印象だった。

 しかし、勝負事は面白い。乗ってしまったほうが勝ちだ。スタートダッシュに成功。若手たちはどんどん勢いに乗っていく。ダルビッシュが無敗で西武ドームに乗り込んできた時、ダルビッシュに勝てるのはお前たちだけだと渡辺監督が檄を飛ばし、見事サヨナラ勝ちを納めた。このゲームが一つのポイントになり、また加速する。他の追随を全く許すことなく、突っ走った。

 エース涌井が昨年のような活躍をできず、かつてのエース西口がなかなか勝てなくても、打力で勝ち進んでいった。98年に優勝したマシンガン打線の横浜に似ている。同じ年代の若手選手が多く集まり、その選手たちが競い合う形で自分たちの個性を出していった結果が、チームの力になった。

 しかし、あの時の横浜よりも質が高く、長く維持できそうなのが、今年の西武である。

 まず、1番片岡。今年50盗塁を達成。言うまでもなく、足は超一流だ。バッティングはまだまだ伸びしろがあり、確実に3割を打たなくては片岡の怠慢だ。それぐらいの素質を持った選手である。

 2番栗山。今年は左投手も克服し、3割打者に成長した。もう少し走ることを勉強すれば、脅威の2番打者になると言ってもいい。なぜ脅威なのかと言うと、打点の多さにある。2番打者で70打点を超えるというのは、なかなか難しい。勝負強い打力を持った若手である。

 3番中島。トリプルスリー、プラス100打点。これが中島のノルマと言ってもいいだろう。今年は北京五輪出場もあり、ホームランが若干少なかったが、来年はこの数字をクリアしそうだ。

 この上位3人を見ただけでも、これから西武が黄金期に突入しそうな予感がする。これに加えて、おかわり中村。46本塁打は驚きだ。しかし、この打者も3割近い数字を残しながらそれだけのホームランを打っておかしくないと私は思う。

 一時期クリーンアップを打った後藤も今年になって打撃を開眼したし、松坂健太という三拍子揃った若者もいる。こういったことを考えても、可能性を秘めた選手が沢山いる。今年より来年。来年より再来年。このチームはどんどん強くなるだろうと私は思う。

 コーチ陣が選手たちの心を掴んでいるというのも大きい。失敗よりも次の成功へ、常に前向きな考え方を植えつけていっている。この新たな指導法が若手のチームには合っているのだろう。苦労人である渡辺監督は我慢強く選手を使っているが、その我慢強さを必要としないほどに、若手たちがグングン成長しているのも面白い。

 少し完成度が低いものの、この若い力が弾けると、一気に日本一ということも考えられる。また新たなスターが球界に生まれてきそうな予感がする、楽しいチームである。

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