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第10回 メジャーの動向

 FA宣言した上原浩治のオリオールズ入団が決まりそうだ。2年契約で年俸は定かでないが、先発手形を貰い、ローテーションの2番手という条件で話は決まったようだ。上原とオフに会って話をしたが、やはり先発にこだわっていた。

 なぜか。リリーフからスタートすると、先発に戻るのが大変な苦労になってくる。巨人時代、クローザーをやった翌年に先発をしてスタミナ面や集中力の面で大変な苦労があったと聞いている。

 自分では、投げる場所はどこでもいいと言っていたが、先発でまず試し、それがダメになってから、中継ぎ・抑えに挑戦したいと話していた。

 いま現在、上原も自主トレを始め、メジャーのボールでキャッチボールをしている。やはり松坂が一年目に苦労したように、ボールが滑ると言っていた。ボールの大きさに関してはさほど違和感はないらしい。革の質が日本と違うため、対応策を考えているという。

 また、マウンドの傾斜・硬さなどはメジャーの方が自分に合っているらしい。日本のマウンドは傾斜が緩やかで、掘れてしまう。そのため、足に爆弾を抱えている上原は、非常に用心深く投げていた。しかし、メジャーのマウンドは傾斜があり、土も掘れず、足の滑りがないため安心感を持って投げられるそうだ。上原が国際試合に強いというのも、この辺りが少し関連するのかもしれない。

 それと、ローテーション投手に100球前後での球数制限があるということも、上原にとってはプラスな条件だろう。

 上原は実に器用なピッチャーである。ストライクゾーンの出し入れが巧みにできる投手だ。そのぐらいコントロールが良く、高めにはまず行かない。メジャーのストライクゾーンは横に広く、縦に辛い。その横の制球は抜群である。昨年の上原を見ていると、不安になる人も多いかもわからないが、上原が活躍する条件が揃っているのは、日本よりもアメリカの方ではないかと思う。

 続いて川上憲伸。ブレーブスに決まりそうな話がある。憲伸も制球力が良く、安定したピッチャーではあるが、力任せに行くところがある。力で行けば必ずやられるのがメジャーリーグだ。

 左バッターを抑える術は、憲伸は持っている。左バッターの外から曲がってくる外カットと、インサイドを突く内カット。そういったボールを駆使し、左バッターは割と抑えていくだろう。しかし、メジャーは右バッターにもいい選手が多い。彼らを抑えるのは、ツーシーム系のシュートボールと縦の憲伸独特のカーブになるだろう。こういった組み立てができるキャッチャーがいれば、恐らく活躍すると思うが、まずメジャーのキャッチャーは組み立てを考えない。安全な外の低めを基本にしているため、苦労すると思う。メジャーリーガーの腕の長さを考えれば、外一辺倒では危ないのだ。

 海外に出ると、言葉の壁がある。その言葉の壁を早く無くし、自分を出して行けるようになれば、成功も近づいてくるだろう。

 逆輸入という形で、井口が日本球界に復帰するという話もある。ロッテのウィークポイントであるセカンドのポジションを埋めること
になりそうだ。

 メジャーを経験している選手たちに一様に言えることは、精神的にたくましくなり、人間的に大きくなって帰って来ているということだ。野球がうまくなったという風には思わないのだが、精神的な強さはすごく感じる。

 ロッテにはこれといったリーダーが不在だった。井口の34歳という年齢と、リーダーという面を含めて見てみると、いい補強になってくるだろうという楽しみがある。

 ファースト福浦、セカンド井口、サード今江、ショート西岡。非常に魅力のある面々ではないだろうか。今年はロッテに一層期待してみたい。

 さて、最後になるが、斎藤隆がいる。ドジャースとの契約がもつれ、未だに行き先がない。しかし、メジャーの実績が各球団を動かすことは間違いないだろう。また、真面目で優等生といっていい投手だけに、どこかには落ち着くと思う。嬉しく思うのは、WBCへの参加だ。

 働き場所も決まっていない選手が日本を代表して戦ってくれる。普通ではそれどころではないはずで、死活問題を抱えていることを考えれば、斎藤隆の勇気に感動する。

 恐らくそういった心意気もメジャーの関係者は見ていてくれているはずだ。いい契約がまとまることを期待したい。

 今年、WBCが開かれるが、ヤンキースと契約を結んだ大物選手たちがこぞって辞退を表明している。本当の世界一を決める大会ということで始まったものが、陰を落とし始めている。日本も中日からの選出者がおらず、その意識が問われる大会になってきている。A-RODはアメリカではなくドミニカ共和国で出場するなど、真剣に考えている選手もいるのに対し、これは寂しいことだ。逆に、契約のまとまっていない斎藤の参加が一層勇気あるものに見えてくる。

 毎年のイベントではないだけに、この大会を楽しみにしているファンも沢山いるはずだ。サッカーのワールドカップで世界が熱狂する。そんな大会があるのに対して、それに比べて野球というのは地味な大会になってしまっている。それを考えれば、もっともっと真剣に、野球というものを世界に発信していかなければいけないだろう。

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