突然ですが、今回でこのコラムも終了することになりました。短い間ですが、ご愛読下さった皆様、ありがとうございました。
さて、WBCも第1ラウンドが終わり、色々なものが見えてきた。今回はWBC、国際試合というものについて考えてみたい。
国際大会で初采配となる原監督だが、まず中国戦を見、直接話したこともあって、一つ気になったことがあった。
監督は試合を序盤・中盤・終盤に分け、序盤・中盤は特に動かない、終盤に競っていれば動くという方針を教えてもらった。国際試合を経験している私にとって、いつも終盤のつもりで堅く点を取って行ったほうが勝率は上がるという考えがある。中国戦を見て、チャンスが多くありながら4-0という結果に終わったのは、そういった要素も原因になっていると思う。
しかし、選手の名前、実績などを見ると、みんな3割を打ち、20本30本打っていくバッターたちが揃っている。タイトルホルダーも沢山いる。その中で細かい作戦を展開するよりも、その選手の能力に任せた采配のほうがいい時もある。
いい結果が出たのは、第2戦。韓国のキム・グァンヒョンを打ち込んだ試合が典型例だろう。しかし、キム・グァンヒョンの調子が悪かったということも言える。その証拠に、第3戦のボン・ジュングンには手も足も出ない状態で抑え込まれてしまった。決勝を見据えて日本は戦っているが、勝ち上がれば相手のレベルも上がっていき、シビアな戦いが待っている。その準備期間として第1ラウンドを戦っていけばいいのにと思ってしまった。
各国苦しんでいる。ドミニカ共和国はオランダに負ける。メキシコはオーストラリアにコールド負け。番狂わせと言えば失礼な話だが、結局チームというものはビッグネームを並べるだけでは何も動けないのだ。ただ選手の能力に任せる試合になってしまうことが怖い。
確かに監督というものは個性や感性がある。勝負勘は非常に重要だ。我々が外から冷静に見ているよりも、かなり興奮状態でベンチに座っていることだろう。日本代表の監督という重責を委ねたのだから、原監督に任せるしかない。
一つ言えることは、第1ラウンドのような戦い方が続けば、必ずどこかで壁に当たるだろうということだ。現在メジャーに行っている選手で調子がいいのは城島ぐらいで、後はみんな調整不足と言ってもいいほどだ。アメリカの気候・風土に戻って調子を取り戻してくれればと期待もするが、彼らのバッティング内容は、彼ら本来のバッティングを全くできていない状態だ。だが、能力が高いだけに期待してしまう。
第1ラウンドは2位通過という、何とも切ない結果になった。ホームでやっているだけに余計悔しい結果だ。勝つとチームの結束力が強まるが、負けると不協和音が出てくる。そういった中で監督がどうチームをまとめていくのか楽しみでもある。負けた9日、日本代表は羽田からチャーター機でアメリカに向かったが、道中勝って移動するのと、負けて移動するのでは雰囲気が明らかに違うのは、皆さんも想像できるだろう。
WBCの戦いの性質として、球数制限がある。その球数を一番投げられるのは、その日先発した投手だろう。その先発からいかに点を取るか、これがカギになってくる。
第1戦の中国戦でも、相手ピッチャーが細切れで出てくるとなかなか打ちづらく、苦しんだ。第3戦も岩隈が失点し、そのまま逃げ切られた。
このWBCの戦いの性質として、序盤・中盤・終盤というよりも、序盤が終盤であるということが言えるのではないかと思う。
打者としては、初めて見るピッチャーを一打席で仕留めるということはなかなか難しく、先発を捕まえるほうが、2打席その球を見られるという意味では楽である。
レギュラーシーズンであれば、各チーム終盤になるほどパターン化されていく。そのため、何回も同じピッチャーと当たることが多く、バッターの安心感も強いだろう。バッターというものは、一度見ているのと見ていないのでは安心感が違う。また、データもあるとは言え、仮にまっすぐしか投げないピッチャーですら、そのまっすぐがどんな回転でどんなスピードに見えるかは、打席に入るまで信用しないのがバッター心理だ。そういうわけで、WBCでは終盤に行けば行くほど難しくなってくるわけだ。
確かに調子が悪ければ初見のピッチャーでも簡単に打ててしまう技術が代表にはあるだろう。それだけに、監督の好不調の見極めというものも重要なポイントだ。その見極めにより、サインも変わってくるはずだと思う。
これからは自然との闘いもある。今までドームで戦い、気象条件に左右されずに試合をしてきた。人工芝で守りも楽だったはずだ。時差との戦いもある。精神的な強さも要求されるだろう。非常に厳しい戦いになる。
原監督は私と同い年である。高校の頃から運の強い男だった。戦略とか戦術はこれが正しいというものがない。やってみなければわからない部分もある。私は原監督の運に期待したい。なぜなら、勝負というのは運も非常に大切だからだ。
私は運なくこのコラムを終わるが、原監督には頑張ってほしいと心から思っている。このコラムが終わるに際し、残念だという人がいることを期待しています。ご愛読ありがとうございました。
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