牡馬クラシック最終戦の菊花賞は優勝候補が五指に余る大混戦の様相を呈している。1冠目の皐月賞が高速決着だったのに対し、2冠目の日本ダービーは泥田と化した極悪馬場での戦い。好対照の条件下で上位入線馬の顔ぶれがガラリと入れ替わったうえ、前哨戦の神戸新聞杯は春2冠に不出走の新星が圧勝と、実力に序列をつけられないまま本番を迎える事態となった。「皐月賞は速い馬、ダービーは最も幸運な馬、菊花賞は強い馬が勝つ」とされるが、今年は強いだけでは勝てそうにない。各馬の戦力を週末までじっくり見極めたい。
春の3強対決に乗り遅れてしまったリーチザクラウンだが、最終決戦に向け着々と足場を固めてきた。折り合えず自滅した皐月賞から一転、マイペースで走れた日本ダービーでは、勝ち馬には離されたものの2着を死守。神戸新聞杯でも主導権を握って2着に粘走した。春先はマイラーと思えるほどスピード資質が全面に出ていたが、自分の型にさえ持ち込めば、距離延長でも崩れないキャラを確立。道悪のダービーとレコード決着の神戸新聞杯、同じ2400mながら対照的な馬場コンディションで、結果を残せたことは大きな自信となったはずだ。ダービー、神戸新聞杯の着差から強気になれる訳ではないが、無理な競りや早仕掛けにさえ巻き込まれなければ、上位入線の可能性は最も高いか。
皐月賞との2冠制覇を賭けるアンライバルドの前哨戦は、力みの目立つ走りで末脚不発の4着。課題を露呈した形だが、それでも大崩れせず地力は示した。春はレースを経験するごとに落ち着きを増しただけに、本番では変わり身も期待できるだろう。ただ、リーチザクラウンには連敗中。馬場(ダービー)や折り合い(神戸新聞杯)という言い訳があるにせよ、距離が延び、ペースを握られてからは影も踏めていない。父ネオユニヴァース、半兄フサイチコンコルドともダービー馬でありながら菊花賞は3着。距離の融通性を感じられない血筋で、この馬自身、体型や鋭すぎるほどの末脚から中距離型の可能性がある。うまく脚を溜めたいが、リーチザクラウンの鈴付け役という立場が悩ましい。
イコピコはこの両雄をトライアルで一刀両断。一躍、最前線に浮上した。鮮烈な勝ちっぷりは印象点も抜群。ただし、ダービー2着馬、2歳王者、皐月賞馬を相手に回し、並ぶ間もなく差し切るのは、常識的に実力だけでなせる芸当ではない。象徴的なデータが同馬の上がり時計。2勝目から前走までの計3勝時は全て33秒台をマークした一方、敗戦時は全て34秒以上を要している。神戸新聞杯は前方に有力馬、後方に伏兵が固まった二分戦。イコピコは後方集団の先頭で有力馬の動きをうかがい、終盤の爆発力を温存した。気楽な立場(7番人気)だからこそのレース運びで、有力馬の1頭として勝ちにいき、その上で33秒台の末脚を残せる保証はない。ここは試金石。
神戸新聞杯組では3着の2歳王者セイウンワンダーも軽視できない。クラシック戦線が本格化してからというもの、常に距離の不安がささやかれながら、崩れた2戦は太目残り(弥生賞)、道悪(ダービー)と敗因がハッキリしている。前走もジリジリとリーチザクラウンに詰め寄り、ゴールではわずか0秒1差。600m延長の菊花賞で逆転も十分の内容を見せた。豪快な末脚を武器とした2歳時のイメージが薄れ、新味の欲しい現状だが、直線平坦コースは新潟2歳S以来。変わり身の余地はある。
東の前哨戦・セントライト記念は、神戸新聞杯との比較で駒落ち感は否めない。ただ、ナカヤマフェスタの勝ち方は実力を再認識させるものだった。その内容は3コーナーから鞍上の手が動きはじめ、脱落ムードさえ漂わせながら、しぶとく脚を伸ばして直線早々に先頭。最後は内外から食い下がる相手をねじ伏せた。レース後の鞍上が言うには、勝負所のズブさはハミを取らなかったため。それでいながら早め先頭の形を作り、押し切ったのは力の証明に他ならない。自在な折り合いと息の長い末脚は、距離攻略の必須要素。豪脚で追い込むも及ばなかったダービーの借りを返すことも可能だろう。
他のセントライト記念組では、巧く立ち回った2着セイクリッドバレーより、外から追い込んだ3着フォゲッタブル、出遅れて脚を余した4着アドマイヤメジャーに、距離延長での前進を期待できそうだ。
大駆けがあればシェーンヴァルト。神戸新聞杯は直線で前が詰まり、ステッキを一度も使えていない。京都外回りはデイリー杯2歳Sでレコード勝ちした舞台。オウケンブルースリが前年の菊花賞と先の京都大賞典を、タスカータソルテが京都新聞杯を制すなど、ジャングルポケット産駒の高いコース適性は見逃せない。血統からはブレイクランアウトも不気味な存在。マイル路線で頂点を目指した春は尻すぼみに終わったが、脚を溜めて終い勝負の型からも、息の入る距離の方が力を発揮しやすい。父スマートストライクは北米チャンピオン種牡馬。2007年には産駒がBCクラシック(カーリン)、BCターフ(イングリッシュチャンネル)を同時制覇しており、この万能性が何かを起こすことも。
アントニオバローズは喉の炎症で神戸新聞杯を惨敗。この中間は治療を施しながらの調整が進められているが、長距離戦を前にした状況としては厳しいものがある。
注目情報
競馬 コラム

大混戦の菊花賞、勝敗の決め手は強さより運?
リーチザクラウンは未完の「3強物語」に自身のページを書き加えることができるか。(photo by 倉元一浩)
[PR] お役立ち情報
特集ピックアップ
PR
MSNスポーツ - コラム一覧
PR
このページ上に表示される記事内容、あるいはリンク先の記事内容はMSNおよびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
Copyright © International Sports Marketing Co.,Ltd. All rights reserved.
掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。著作権はISMに属します。




