アメリカ国内ではいまひとつ盛り上がりに欠けるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。しかし、第1ラウンドでは短期決戦、そして国際試合ならではの波乱、予想外の出来事が起こり、野球ファンにとってはエキサイティングと思える展開となっている。ここまでの大会前半を振り返り、5つの注目トピックを取り上げてみた。
1.ドミニカ共和国、まさかの第1ラウンド敗退
大砲デビッド・オルティス(レッドソックス)を軸とした強力打線が自慢だった優勝候補ドミニカ共和国が、オランダ相手に2連敗。誰もが予想しなかった第1ラウンド敗退となった。オランダ戦の敗因は、2試合とも守備の乱れ。2対3で敗れた初戦は、ミゲル・オリボ捕手(ロイヤルズ)とヘインリー・ラミレス遊撃手(マーリンズ)の悪送球、エディンソン・ボルケス投手(レッズ)の暴投で3失点。延長にもつれ込んだ2戦目も、けん制悪送球で相手走者を三塁に進めた後、最後はウィリー・アイバー一塁手(レイズ)が強い当たりのゴロをはじき(記録はエラー)、逆転サヨナラ負けを喫した。
アレックス・ロドリゲス三塁手(ヤンキース)、アルバート・プホルス一塁手(カージナルス)という主軸2人が欠場してもなお、メジャーの強打者たちがズラリと並んだ強力打線が沈黙したのは確か。ドミニカの敗北はあまりにも衝撃的だが、フェリペ・アルー監督が初戦の敗戦後に残した「9対0で勝つべき相手」という言葉が、オランダをなめてかかっていたことを証明していた。
2.米国の苦戦
現地15日にオランダを下し、米国は2連敗での第2ラウンド敗退という事態は回避。優勝に望みをつないだ。ただし、先発ロイ・オズワルト(アストロズ)こそ好投したものの、投手陣に不安があるのは事実。14日のプエルトリコ戦では11失点、この日もチーム打率1割台という貧打のオランダ打線に12安打を浴びた。マット・リンドストロム投手(マーリンズ)は、本塁打を許した直後、フラストレーションからか次打者の背後を通過する速球を投げ、乱闘寸前の事態を招いた。絶対的守護神こそ不在ながら、メジャー各球団の中継ぎエースクラスをそろえたリリーフ陣が、ここまでのところ不安を隠せない。
打線は、昨季のア・リーグMVPダスティン・ペドロイア二塁手(レッドソックス)、ナ・リーグ首位打者チッパー・ジョーンズ三塁手(ブレーブス)が相次いで故障離脱。それでも、大黒柱デレク・ジーター(ヤンキース)、2007年のナ・リーグMVPジミー・ロリンズ(フィリーズ)両遊撃手の1人を指名打者に入れ、同時起用できることはプラス。開幕直前に代表入りしたアダム・ダン外野手(ナショナルズ)が3本塁打、ペドロイアの代役として急きょ合流したブライアン・ロバーツ二塁手(オリオールズ)もオランダ戦で3安打と期待に応えている。しかしドミニカ同様、この打線が沈黙すると苦戦は免れない。
3.短期決戦における投手陣の重要性
オランダがドミニカ共和国に連勝した“奇跡”は、投手陣の奮闘が最大の理由。ドミニカ共和国との2試合で好救援を見せた19歳デニス・ニューマン(レッドソックス傘下)ら、メジャー経験のない投手たちが強力打線を封じた。開幕から4連勝を飾ったプエルトリコも、この間の失点はわずかに2。古巣シカゴ・ホワイトソックスのオジー・ギーエン監督から「ビッグゲームは任せられない」と厳しい評価を与えられていたハビエル・バスケス(ブレーブス)は、第2ラウンド初戦の米国戦で素晴らしい投球を見せ、コールド勝ちに貢献している。日本が15日にキューバを破ることができたのも、松坂大輔(レッドソックス)の好投によるところが大きい。韓国が強いのも、信頼できる先発投手を複数擁していることが理由だ。
4.ベネズエラの強打者がブーイングを浴びる理由は?
ベネズエラの主軸マグリオ・オルドニェス外野手(タイガース)が、同胞のファンから強烈なブーイングを浴びている。その理由は、反米左派として知られる母国のウゴ・チャベス大統領を支持するCMに出たため。チャべス大統領の政策に反対する多くのベネズエラ人は、国を離れて外国で生活している。マイアミで行われたオランダ戦、オルドニェスは反チャベスのファンからブーイングを浴びただけでなく、三振を喫した際には歓声まで上がっていた。代表にはオルドニェス以外にもチャベス支持派は存在し、WBCに政治問題が持ち込まれている状態に少なからず困惑している。ただし、チーム自体は大会初制覇に向け、一体となっていることは確かだ。
5.期待を完全に裏切ったカナダ
地元トロントで第1ラウンドを戦ったカナダだが、伏兵イタリアにまさかの完敗を喫し、あっさりと大会から姿を消した。リッチ・ハーデン、ライアン・デンプスター(ともにカブス)らメジャーで活躍する先発投手陣の欠場は痛かったが、それ以上に期待された打線が打てなかったことが大きい。1点差で敗れた初戦の米国戦は、若手の指名打者ジョーイ・ボット(レッズ)が4安打2打点と孤軍奮闘するも、4番ジャスティン・モアノー一塁手(ツインズ)、5番ジェイソン・ベイ外野手(レッドソックス)が沈黙。イタリア戦は3人で7安打を記録したが、残る野手は全員ノーヒットとつながらなかった。
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波乱含みのWBC、大会前半の注目トピックは?
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