
スキー競技に欠かせない雪が降らない、ということが最近起こっています。特に北欧は本来、冬は冷えて雪が豊富な地域です。しかし、現役を引退した5年前にはすでに冬が冷えないという現象が起こっていました。これはヨーロッパ全体に言えることで、国際大会が中止になることも多々ありました。しかも、やっと降ったとしても良質の雪がない。競技にはマイナス5度〜マイナス10度くらいの気温がちょうどいいのですが、0度で止まったりすると、とても滑りにくいのです。人工雪を降らせようとしても、そもそも冷えない、ということが多発しているのです。
地球温暖化は、冬の競技にもスキー業界にとっても死活問題ですが、さらに言えば、これはスキーに関わらない人にとっても人ごとではなくなっているほど、深刻な問題です。この問題を解決するためには、エネルギーをなるべく使わないように心がけることが大切だと思います。私はなるべく自家用車に乗らないようにしてとにかく歩きますし、家では私よりも妻のほうがゴミの分別に積極的(笑)。政府は京都議定書に基づいてCO2の削減を呼びかけていますが、加えて一人ひとりが意識しないと効果はありません。私たちの日常生活によって排出されるCO2の割合はとても大きいのです。
今の暮らしを全部何十年も前に戻す、というのは無理な話です。また、ひたすらいろいろなものを我慢してCO2の排出量を減らす、というのも持続しない。環境問題で大切なのは、長続きさせるということだと思います。そのためには、一人ひとりが危機感を持って、まずはしっかりと現実を知らなければなりません。そして「地球環境を守る」「地球が好き」という気持ちが“クールで格好良い”という雰囲気になればいいですね。地球のためにしていること自体が格好良くて、もっと言えば“セクシー”だと思ってもらえれば、より多くの人に広がっていくと思うのです。
私は群馬県草津という温泉町で生まれ育ちましたが、どの家にも冷房はなかったですね。もともと冷涼な気候ということもありますが、暑いときでも自然に合わせて生活していました。しかし、都会の暮らしは、少し暑くなると人工的に冷やしてしまいますよね。そこでちょっと考えて、窓を開けてみる。昔から日本には風鈴というものがあつて、これを窓につるしておくと、その音色から涼しさを感じられるのです。じめじめしているときや日差しが強いときには、すだれがある。猛暑のときは家の前に打ち水をする・・・。このような昔から日本にある知恵や文化が見直されることが、環境を守る大きな一歩になるのです。
スポーツを愛する人は、一番自然に触れているかもしれません。そしてアウトドアが好きな人もそうでない人も、どうか子どものころを思い出してみてください。太陽の下で駆け回り、公園で遊び、緑の中を歩いた記憶。そのときに、肌で感じた自然があるはずです。その自然、地球環境がだんだんと姿を変え、破壊されつつあります。自然を愛する者が、みんなで声を上げることがまず大切です。今はインターネットという道具を使って世界中の人が議論を交わせる時代ですから、それらを通して、地球温暖化に立ち向かう機運を高めていく。一人ひとりの気持ちの積み重ねが、やがて大きな力になっていくのだと思うのです。
群馬県草津生まれ。ノルディック複合の選手として長年に渡り世界のトップアスリートとして活躍。オリンピック団体戦で2大会連続金メダル獲得、ワールドカップ個人総合3連覇などを含め通算19勝という前人未到の成績を収めた後、2002年に競技生活を引退。スキースポーツの持つ素晴らしさ、感動を知ってもらいたいという熱い想いから、引退後は子どもたちにスキーの楽しさを教えるボランティア活動などを積極的に行う。2004年7月、参議院議員選挙 全国比例代表区で初当選。スポーツ振興や教育問題、環境問題に力を注ぎ活動中。
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