シカゴ・カブスとのディビジョン・シリーズ第3戦で勝ち投手となり、チームのシリーズ突破に大きく貢献したロサンゼルス・ドジャースの黒田博樹投手。レギュラーシーズンでは9勝どまりの黒田だったが、この試合では序盤のピンチをしのぐと、中盤以降は相手打線につけ入るスキを与えず、ポストシーズン初登板で初白星を手にした。この試合を全米に中継したテレビ局『TBS』も、回を追うごとに黒田の好投を分析。松坂大輔投手(ボストン・レッドソックス)に劣っていた米国での知名度をいくらかは挽回することに成功したようだ。
世界中から多くの人々が成功を夢見てやってくる米国。特にロサンゼルスは中南米からの移民が多く住み、ラテン気質のファンたちがドジャー・スタジアムを盛り上げてきた。そのきっかけとなったのが、1980年にデビューしたフェルナンド・バレンズエラの大活躍だった。メキシコ出身のバレンズエラは、81年に新人王、サイヤング賞のタイトルを獲得。ワールドシリーズでも好投を見せてチームを「世界一」に導き、「フェルナンドマニア」と呼ばれる熱狂的な人気を博した。95年、同じドジャースで「トルネード旋風」を巻き起こした野茂英雄の先駆けのような存在であった。
また、1960年代に活躍したサンディ・コーファックスは、敬けんなユダヤ教徒であり、安息日には宗教上の理由からワールドシリーズであっても登板を拒否したが、エースとして絶大な信頼を集めた。人種や国籍、宗教のいかんを問わず実力ある者がエースとなり、いつまでも愛される存在となる。それがドジャースの素晴らしき伝統なのだ。黒田も名門復活の「救世主」となることで、その系譜へと連なるチャンスを得ようとしている。
20年ぶりのワールドシリーズ制覇を目指すドジャースが、まず越えなければいけない壁はリーグ・チャンピオンシップシリーズの対戦相手、フィラデルフィア・フィリーズだ。そのフィリーズには田口壮外野手が所属しているが、プレーオフでは出番を与えられておらず、このシリーズでも先発出場はないだろう。しかし、ワールドシリーズ制覇の経験を持つ田口は、勝負どころで起用される可能性もあり、シリーズ第3戦で先発予定の黒田にとっても要警戒の存在だ。
そして、フィリーズ打線で本当に脅威なのは、今季48発を放った本塁打王ライアン・ハワード一塁手や、ともに33ホーマーを記録したチェイス・アトリー二塁手、パット・バール外野手の「クリーンアップトリオ」だろう。レギュラーシーズンでは、フィリーズ相手に2試合を投げて1勝0敗、防御率1.38と好成績の黒田だが、プレーオフでも同様のピッチングを見せることができるか、注目が集まる。
その一方、故障明けのクローザー斎藤隆投手は、カブス相手に思うようなピッチングができず、今シリーズは登録メンバー入りが微妙になっている。もしベンチ入りを果たすことができれば、どんな場面であっても結果を出し、ジョー・トーレ監督ら首脳陣の信頼を取り戻すことが必要になってくるだろう。
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メジャーリーグ ワールドシリーズ2008特集

20年ぶりのリーグ制覇へ、黒田の右腕が名門復活の一翼に
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